大規模修繕の耐用年数と計画周期|法人施設の長寿命化ガイド

大規模修繕の豆知識 2025.08.18 (Mon) 更新

大規模修繕の耐用年数と計画周期|法人施設の長寿命化ガイド

法人が所有する施設において、大規模修繕は単なる修理工事ではなく、長期的な資産価値の維持と経営安定に直結する重要な経営判断です。特に事務所ビル、店舗、工場、医療・福祉施設などは日々多くの人が利用するため、建物の安全性や快適性を確保することは社会的な責務ともいえます。

しかし、大規模修繕には数千万円規模の費用がかかるケースも少なくなく、「いつ、どのタイミングで、どの範囲の修繕を行うべきか」を誤ると、資金繰りへの影響や、施設利用者への支障につながりかねません。

その判断基準となるのが「修繕箇所ごとの耐用年数」と「計画的な修繕サイクル」です。外壁や屋根の塗装、防水工事、共用部や設備の修繕はいずれも寿命が異なり、使用環境や選択する材料によっても劣化スピードは大きく変わります。耐用年数を把握せず場当たり的に対応すれば、将来的に大規模な故障や漏水を招き、結果として修繕コストが膨らむリスクが高まります。

そこで本記事では、法人施設における主要な修繕工事の耐用年数と適切な計画周期を整理し、長寿命化とコスト最適化を両立させるための考え方を解説します。今後の修繕計画の立案や資金計画の見直しにお役立てください。

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法人施設における減価償却資産としての耐用年数

法人施設における減価償却資産としての耐用年数

構造

耐用年数

木造・合成樹脂造

事務所用:24年
店舗用・住宅用:22年

木骨モルタル造

事務所用:22年
店舗用・住宅用:20年

鉄骨鉄筋コンクリート

事務所用:50年
店舗用・住宅用:47年

鉄筋コンクリート

事務所用:50年
店舗用・住宅用:47年

れんが造

事務所用:41年
店舗用・住宅用:38年

石造

事務所用:41年
店舗用・住宅用:38年

ブロック造

事務所用:41年
店舗用・住宅用:38年

金属造(4ミリを超える場合)

事務所用:38年
店舗用・住宅用:34年

金属造(3ミリ以上4ミリ未満の場合)

事務所用:30年
店舗用・住宅用:27年

金属造(3ミリ未満野場合)

事務所用:22年
店舗用・住宅用:19年

法人施設で大規模修繕をおこなう際、会計処理で減価償却する場合の耐用年数は上記の通りです。減価償却資産としての耐用年数とは、税務上の償却年数なので、実際の寿命とは必ずしも一致しません。

大規模修繕の実際の耐用年数と計画周期

大規模修繕の実際の耐用年数と計画周期

主な大規模修繕の実際の耐用年数と計画周期は以下の通りです。環境や使用する建材・塗料の種類などによっても変化するため、参考程度にお考えください。

外壁の大規模修繕

法人施設に外壁塗装を施している場合、塗料の種類によって耐用年数は大きく変わります。耐用年数が長い塗料ほど塗料代も高くなりますが、人件費や足場代などに変わりはないため、フッ素塗料や無機塗料などの高耐久な塗料が一般的です。

フッ素塗料の耐用年数は大体15年~20年程度、無機塗料の耐用年数は20年~25年程度となります。塗膜の劣化症状は色褪せやひび割れ、はがれなどです。塗膜の劣化を放置すると外壁材の劣化や腐食、雨漏りに繋がるため早めに修繕した方がよいでしょう。

外壁にタイルを使用している場合は、外壁塗装ではなくタイル目地のシーリング のメンテナンスが必要です。大規模修繕におけるシーリングのメンテナンスは交換(打ち替え)が一般的であり、耐用年数は10年~15年です。シーリングが劣化するとひび割れや痩せ、はがれなどが起きます。

モルタル外壁のひび割れを補修する場合は、ひび割れを埋めた後に塗装を施すのが、一般的です。モルタルの耐用年数は大体10年~15程度だと言われています。

屋根の大規模修繕

屋根材の大規模修繕は、塗装や屋根材の交換(葺き替え)などが一般的です。塗装の場合は外壁塗装と同様の耐用年数となり、フッ素塗料なら耐用年数は大体15年~20年程度、無機塗料なら耐用年数は20年~25年程度となります。

葺き替えの場合は屋根材の材質や種類によって耐用年数やメンテナンス周期は大きく変わるため、注意しましょう。ガルバリウム鋼板であれば耐用年数は20~30年ですが、10年~15年おきに塗装メンテナンスが必要です。

屋上・ベランダの防水工事

屋上やベランダには防水処理が施されていますが、経年劣化がすすめば機能を失い、ひび割れなどを起こします。そのまま放置すると雨漏りや腐食の原因となるため、早めの防水工事が必要です。

防水工事の耐用年数は工法や使用する塗料・建材などによって大きく異なりますが、一般的なもので10年~15年、長持ちするもので15年から20年程度となります。ウレタン塗膜防水などは5年前後で表面が劣化するため、定期的にトップコート(表面のコーティング)が必要です。

ウレタン塗膜防水(密着工法/通気緩衝工法)|耐用年数10~12年程

ウレタン塗膜防水は、液状のウレタン樹脂を塗って固め、シームレスな防水膜を形成する方法となります。メリットは複雑な形状にも対応しやすく(配管周りなどに強い)、継ぎ目のない仕上がりで止水性が高い点です。

シート防水(塩ビシート防水/ゴムシート防水)|耐用年数12~20年程

シート防水はシート状の防水材を接着または機械固定で施工する方法となります。メリットは工場で生産されたシートを使うため、品質が安定しており、工期が短く、広い面積の施工にも向く点です。

アスファルト防水(熱工法/トーチ工法/常温工法など)|耐用年数15~20年程

アスファルトを溶かしてシートを積層する工法です。防水性能が非常に高く、公共施設や大型建築などでの採用率が高い方法となります。

FRP防水(繊維強化プラスチック防水)|耐用年数10~12年程

ガラス繊維マットと樹脂を組み合わせて硬化させる方法です。主にベランダやバルコニーで採用されます。非常に硬く、摩耗・衝撃に強いのが特徴となります。

設備の大規模修繕

設備の修繕は何を修繕するかで耐用年数は大きく異なります。たとえば、給水ポンプや配水管などは15年~20年前後で経年劣化するため、修繕が必要です。こうした内部設備の劣化具合は、判断が難しいため、他の箇所も含めて業者に定期点検を依頼するのが一般的となっています。

共用部の大規模修繕

廊下や階段床などは10〜15年程度で経年劣化するため修繕が必要になります。手すりや各所鉄部が金属製である場合は、5年~10年程度で劣化し、サビが発生しやすくなるため注意しましょう。いずれの箇所も環境によって劣化の進行度は大きく変わりますが、特に強い影響を与えるのは太陽光の紫外線です。

そのため太陽光が当たらない共用部の方が、太陽光にさらされている共用部より長持ちする傾向にあります。

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法人施設の長寿命化させるコツ

法人施設の長寿命化させるコツ

法人施設の長寿命化させるコツは以下の通りです。できるだけ多く実施すれば、それだけ長持ちするでしょう。

定期点検の徹底

法人施設の各所劣化具合を一般の方が定期的に点検するのは難しく、現実的ではありません。基本的には業者に定期点検を依頼し、報告書を管理、いつでも確認できるようにしておくことをオススメします。たとえば外壁・屋根・防水層は 1〜3年ごとに目視や打診検査、給排水設備は 5年ごとに内視鏡や水質検査をおこなうとよいでしょう。

ひび割れや漏水も発見が早ければ早いほど、修繕費用を抑えられ、施設自体も長持ちします。管理人や住民が居る場合は、異常が発見された場合の連絡先などを共有しておきましょう。

修繕サイクルの適正化

どんな修繕も劣化症状が酷くなってきてからおこなうより、耐用年数に達するより少し前に着手した方が、施設への延命効果が高く、修繕費用も安く済みます。

たとえば30年に1回、超大規模な修繕工事をおこなうよりも、10〜15年ごとに修繕をおこなった方が長持ちしますし、長い目で見れば費用も幾分か抑えられるでしょう。修繕箇所を分割し、余裕をもって修繕サイクルを作れば、1度にかかる費用も少なくて済みます。

高耐久な素材・塗料・工法を選ぶ

法人施設は一般的な戸建てよりも規模が大きいため、工事期間が長く、人件費や足場代なども高くなりがちです。ですので、できるだけ耐用年数の長い高耐久な素材・塗料・工法を選んだ方が、長い目で見ればお得となります。

サビ発生に注意する

サビを放置しても改善することはなく、深刻化すると施設の寿命を著しく縮めてしまいます。屋上やバルコニー、排水口や階段などのサビを発見した場合は記録に残し、できるだけ早く修繕をおこないましょう。安全性が確保でき、極小範囲のサビであればDIYでの対応も可能です。サンドペーパーなどでサビを削り落とし、サビ止めを塗布しましょう。

広範囲である場合や、サビが根深い場合、高所の作業は難しく危険なので、プロに任せることをオススメします。

適切な長期修繕計画と資金管理

長期修繕計画を5年ごとに見直し、資金不足を防ぎましょう。資金が足りないからと言って修繕工事の内容を簡略化したり、安い建材・塗料などに交換すると、メンテナンスのサイクルも早まり、さらなる資金不足に繋がる可能性があります。

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修繕ひらまつに相談して法人施設の長寿命化を実現

修繕ひらまつに相談して法人施設の長寿命化を実現

法人施設の大規模修繕は、一度に多額の費用が発生するため、単なる「修繕」ではなく「資産の延命」として計画的に考えることが重要です。外壁や屋根、防水層、設備や共用部はいずれも耐用年数が存在し、それを少し早めに把握して修繕を行うことで、法人施設全体の寿命を延ばすことが可能となります。また、フッ素塗料や無機塗料、防水工法など高耐久な材料や工法を選ぶことで、長期的な修繕コストを抑えることにもつながります。

修繕ひらまつでは、法人施設の長期修繕計画の立案から、資金管理のご相談まで幅広く対応しています。定期点検やサイクル管理を徹底することで、不測のトラブルを未然に防ぎ、安定した施設運営をサポートします。修繕費用を単年度で考えるのではなく、10年・20年スパンでの資産価値維持を目指すことが法人経営において大切です。

大規模修繕や長寿命化のご相談は、ぜひ「修繕ひらまつ」にお任せください。お問い合わせはフォームからのご連絡、メールやお電話でのご相談、またはショールームへのご来店をお待ちしております。法人施設に合わせた最適な修繕プランをご提案いたします。

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