築年数の経過した分譲マンションや収益物件において、
「修繕の必要性は認識しているものの、具体的な進め方がわからず着手できていない」管理組合や法人オーナーも少なくありません。
長期修繕計画は、建物の維持管理や資産価値の保全のみならず「突発的なトラブルの回避、予算管理の適正化」などの観点から、重要な経営的意思決定事項です。
しかし、実務の現場では、
など不明瞭な手続きがあることから、頓挫するケースも散見されます。本稿では、管理組合や法人の実務担当者が迷うことなく計画を策定できるよう「修繕計画の構成要素、調査項目、資金計画との整合、稟議資料の整備要領」を中心に解説します。
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長期修繕計画とは「建物の屋上防水、外壁塗装、鉄部塗装、設備更新」などについて、管理資源の最適配分を図るための基本計画です。
計画を立てると、修繕時期および修繕範囲の可視化が可能となり、適切なタイミングで計画的な保全措置を講じる際に役立ちます。
適切な修繕を定期的に実施すると、雨漏り・腐食・劣化の進行を抑制し、建物の構造性能および外観の良好な維持が可能です。結果、物件の資産価値が長期的に保全され、居住者の満足度アップにつながります。
また、大規模修繕が発生した際に積立金を確保していれば、突発的な負担の回避につながるため、マンション管理側の資金繰りも効率化できるでしょう。
長期修繕計画を立てていない場面で、雨漏りや外壁落下等の緊急事態などが起こると、多額の一時金徴収や借入が発生します。修繕積立金が足りないと必要な工事を実施できず、資産価値の著しい毀損や空室率の増加に直結するリスクもあるため危険です。
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マンション管理組合が直面する大規模修繕の課題とリスク低減策
修繕計画の基本構成および策定の際は、次のことを行います。
それぞれ詳しく見てみましょう。
計画策定の前提として、建物の現況を精度高く把握することが不可欠です。たとえば「外壁・屋上・バルコニー・共用廊下・設備配管」の現状においては、「目視・触診・打診・赤外線調査」などの点検を実施し、「写真記録・劣化度評価・専門家のコメント」などを記載します。
その際、工事の重複・非効率を回避するため、工事項目の連動性や実施時期の最適化も検討することが大事です。
修繕周期の設定に際しては、国土交通省や建築学会の指針、過去の修繕履歴、施工環境などを考慮し設定します。概算費用については、「施工面積・工法・材料単価」などを明確化し、複数業者からの相見積取得により信頼性のある数値を算出するのが特徴です。
仮設費・廃材処分費・近隣対応費などの付帯費用も含めることで、現実的な予算計画を立てられます。
計画策定時には、「修繕積立金の残高・毎月の積立額・今後の収支予測」を基に、資金的な裏付けを明確化する必要があります。資金不足が懸念される場合は、積立金増額・一時金徴収・修繕ローンの活用・工事内容の段階的実施など、複数の代替案を検討・併記することが重要です。
計画書はExcelや建物管理ソフトなどを用いて、表形式やグラフで視覚化します。理事会・オーナー会議・社内稟議において資料としての活用が可能となり、合意形成の円滑化に便利です。
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マンション管理組合・理事長のための大規模修繕プロジェクト進行ガイド
マンションの修繕計画前に点検して、状態をチェックしたうえで修繕することが大事です。ここでは、
で、必要な点検項目を紹介します。
外壁部分については、次の観点から点検・診断を実施する必要があります。
修繕優先度の選定および施工時期の判断に関する重要なデータです。
屋上における防水層の健全性確保は、建物全体の雨漏りリスクを制御するうえで極めて重要です。点検時は、シート防水・塗膜防水について次のことを確認します。
また、防水層の経年劣化に伴う表面硬化や摩耗などを点検することも重要です。
バルコニーは居住者の生活動線上にあるため、劣化が進むと安全性と快適性の両面で支障をきたします。点検項目は次の通りです。
階下漏水や鉄部腐食の温床となるため、建物全体の維持管理計画において重要です。
鉄部は「表面の塗膜状態・サビの発生・腐食の進行度合い」などを中心に確認します。また、配管設備は築20年以上の建物の場合「赤水・漏水・腐食進行」の確認が不可欠です。
また、電気設備に関しては「共用灯の点灯状況・電気盤の腐食・絶縁不良」などの確認が大事だといえます。
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信頼できる大規模修繕会社選定における評価基準と検討手順
マンションの修繕計画を作る際は、外部専門家の活用と管理体制の高度化も意識することが大事です。次のことを中心にお話しします。
項目ごとに詳しく見てみましょう。
建築系コンサルタントや設計事務所に任せると「建物診断、修繕計画策定、見積査定、施工監理」まで、一連の工程を管理してもらえます。
とくに、複数棟・大規模物件においては「工事品質や費用対効果の確保、住民説明資料の作成支援」など有用性が高いため、客観性の担保やトラブル未然防止に便利です。
管理会社が日常的に実施している定期点検結果と、長期修繕計画の内容を相互参照することで、整合性のあるスケジューリングが可能です。また、資金計画・積立金シミュレーションの作成や業者手配等、実務的支援を得ることで、担当者の業務負荷を軽減できます。
第三者による建物診断結果は、施工業者による過剰提案の抑止や、客観的な修繕必要性の説明資料として活用可能です。理事会や法人役員会での承認取得において、利害関係から独立した評価が提示されることで、合意形成につながります。
修繕計画を立てても、稟議資料の整備や社内承認を取得しないと実行できません。ここでは、次のことをお話しします。
稟議や理事会承認等に供する修繕計画書には最低限、次の情報を明示します。
これらの説明責任を果たす資料として、まとめることが大事です。
提出資料は一式をPDF化します。目次付きでクラウド上に共有できる状態としつつ、必要に応じて印刷用のファイルも準備することが重要です。
「マンションの診断書・修繕計画の見積書・業者ごとの比較表・図面等の添付資料」は、資料の信頼性を高めるためにインデックスを付けた形で統合します。
承認取得の際は、
など、図表・数値を用いて定量的に示すことが重要です。
ほかに、住民やステークホルダーとの合意形成を視野に入れた、説明会・質疑応答資料などの作成も承認取得の確率を高めます。
建物の長期的な価値維持や安定経営のため、組織的な修繕計画とその適切な資料整備は欠かせません。しかし実際には、現状把握から修繕項目の抽出、資金計画との整合、そして稟議に必要な書類の整理や説明に至るまで、担当者が悩みやすい工程が数多く存在します。こうした課題を確実に乗り越えるためには、専門家による第三者の視点と実務支援が重要です。
修繕ひらまつでは、建物診断や長期修繕計画の立案はもちろん、実際の見積や積立金シミュレーション、稟議書類の作成、そして社内・理事会での説明まで一貫してサポートしています。経験豊富なスタッフが法人の立場に寄り添い、複雑な資料整備や承認取得の手間を大きく軽減。安心して意思決定できる環境を提供いたします。
修繕計画や稟議に関するご相談は、修繕ひらまつの問い合わせフォームやメール、電話でいつでも承っております。より具体的なご説明や資料のご案内をご希望の場合は、ぜひショールームにもお越しください。法人担当者様の課題解決に向けて、最適な提案をお約束します。
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