
名古屋市では、高層マンションや商業施設の外壁タイル剥落事故を未然に防ぐため、非接触型の「赤外線×ドローン外壁調査」が急速に普及しています。従来の打診調査に比べて足場不要・短期間での全体診断が可能なため、修繕計画や安全管理の事前検討に有効です。
しかし、その一方で「精度は?」「価格は?」「どこまで診断できるの?」という疑問も多く聞かれます。
今回のお役立ちコラムでは名古屋市での赤外線・ドローン外壁調査の仕組み、適用範囲、費用の目安まで詳しく解説します。
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名古屋市は建築物の老朽化が進む一方で、狭小地や交通量の多いエリアが多く、足場設置による調査が難しい現場も少なくありません。こうした現場で注目されているのが「赤外線カメラを搭載したドローン」による非接触型調査です。
| 項目 | 内容 | 特徴 | 
| 調査方式 | 赤外線カメラ+可視画像撮影 | 温度差で浮き・剥離を検出 | 
| 対応建物 | RC造・タイル張り・塗装仕上げ | 10〜50mの外壁調査に最適 | 
| 所要時間 | 1棟(3,000㎡)あたり半日〜1日 | 足場不要で迅速 | 
| データ出力 | 熱画像+可視画像レポート | 報告書化が容易 | 
赤外線調査は、外壁表面の「温度分布」をサーモグラフィで可視化し、浮きや剥離などの異常を検出する非破壊検査技術です。タイルやモルタルが健全な部分では外気温の変化に素早く反応しますが、浮いている箇所には内部に空気層があるため、熱伝導が遅れます。
この“温度応答のズレ”をカメラが捉え、健全部とのコントラストとして画像化します。名古屋市のように昼夜の温度差が10℃以上ある地域では、この原理がより明確に作用し、赤外線調査の精度が高まります。
特に春・秋の晴天時(午前9〜11時)は外壁の表面温度が安定し、浮き部が鮮明に現れる最適条件です。また、最近の赤外線カメラは解像度640×512px・温度分解能0.04℃前後と高性能化しており、0.05㎡程度の小さな浮きも検知可能です。
従来の外壁調査では、ゴンドラ・ロープアクセス・仮設足場を設置する必要があり、時間とコスト、安全リスクが伴いました。特に名古屋市中心部のような隣接建物が近い狭小地では、足場設置自体が困難なケースも多く見られます。
ドローンを活用すれば、上空から赤外線と可視画像を同時に撮影でき、10〜15階建て(高さ約45m)クラスの建物でも半日〜1日で全面診断が完了します。さらに、調査中の騒音や振動が少なく、居住者やオフィステナントへの影響を最小限に抑えられる点も大きな利点です。
撮影データはその場で確認できるため、異常箇所の追加撮影や補正も即時対応が可能になります。
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赤外線ドローン調査は「非接触・短時間・高所安全」の3拍子が揃った技術ですが、すべての建物に万能ではありません。適用範囲と限界を正しく理解することで、後の足場診断との整合性が取りやすくなります。
【メリット】
・足場不要で高所調査が可能
・広範囲を短時間で記録できる
・調査中の騒音・振動が少ない
・データ化により経年比較が容易
【限界】
・表面温度差が小さい場合は精度が低下
・外気温や風速の影響を受けやすい
・目地内部の浮きや細部の欠損は確認困難
赤外線ドローン調査の精度は、環境条件に大きく依存します。特に外壁表面の「温度差」と「日射状況」が十分でない場合、浮きや剥離の温度反応が明確に現れず、検出漏れや誤判定の原因となります。曇天や強風の日は、壁面温度が均一化されて赤外線カメラが異常部位を識別しにくくなります。
また、雨上がり直後など壁面が湿っている状態では、水分が熱を吸収しやすく、異常箇所の温度コントラストが不明瞭になる傾向があります。さらに、名古屋市の冬季(12〜2月)は日射時間が短く、朝夕の気温差も小さいため、熱画像のコントラストが弱まりやすい時期です。精度を最大化するためには、晴天が続く春・秋の午前中(9〜11時)に実施することが最も理想的です。
これにより、壁面全体に均一な温度差が生まれ、浮きや剥離のパターンが鮮明に映し出されます。
赤外線ドローン調査は、建物全体の状態を短時間で俯瞰的に把握できる「一次診断」として非常に有効です。しかし、タイル目地の細部や微細なひび割れ、空洞の深さなど、内部構造に関わる部分は赤外線だけでは把握できません。
そのため、浮き反応が見られた箇所については、打診棒による「音響確認」や近接目視による「仕上げ面の状況確認」を行うことで、より正確な診断が可能になります。
つまり、赤外線で“疑わしい箇所”を抽出し、その後に足場調査で“確定診断”を行う流れが最も合理的です。この併用により、足場を全体に組む必要がなくなり、コストを抑えながらも高い精度を維持できます。
さらに、調査結果をデータ化して時系列で比較すれば、将来的な劣化傾向の把握や補修タイミングの最適化にもつながります。赤外線と足場調査を補完関係として位置づけることで、調査の効率性と確実性の両立が実現します。

費用は建物規模と面積により変動しますが、名古屋市の標準的な相場は以下の通りです。
| 建物規模 | 面積目安 | 調査費用 | 納期 | 
| 中規模マンション(3,000㎡) | 約10階建て | 40〜60万円 | 約1週間 | 
| 大型オフィスビル(10,000㎡) | 15〜20階建て | 80〜120万円 | 約2週間 | 
| 一次診断(部分調査) | 1面500㎡以下 | 20〜30万円 | 約3日 | 
赤外線×ドローン外壁調査は、従来の足場設置を伴う調査とは異なり、計画段階から報告書提出までの工程がデジタル化されている点が特徴です。実施の基本的な流れは次の通りです。
調査対象の建物図面をもとに、飛行ルート・撮影距離・安全範囲を設定します。隣接建物や電線の有無、風向きなどを考慮して飛行シミュレーションを行うことで、当日のリスクを最小限に抑えます。
天候条件を確認し、晴天かつ風速5m/s以下の日に実施します。ドローンには赤外線カメラと可視光カメラを同時搭載し、異常箇所を特定しながら外壁全体を高解像度で記録します。
撮影データを解析ソフトで処理し、温度差のパターンから浮きや剥離箇所を抽出。解析担当者が異常箇所を目視確認し、誤検出を除去したうえで精度を高めます。
赤外線画像と可視画像を照合し、建物立面図上に異常箇所をマークして可視化。これにより、どの範囲にどの程度の浮きがあるかを定量的に把握できます。
最後に、赤外線調査で検出された範囲を基に、足場設置や補修対象範囲を決定します。一次診断の段階で外壁全体の劣化傾向を把握できるため、大規模修繕計画の優先順位付けに非常に有効です。
このように、赤外線×ドローン調査は「調査効率」「安全性」「データ精度」のバランスを取りながら、施工計画の合理化を支援する工程として位置づけられます。
赤外線ドローン外壁調査のコストを最適化するには、「点検業務の同時化」と「計画的な調査スケジュール」が重要です。単独での依頼よりも、防火設備点検・屋上防水調査・雨樋清掃など他の法定点検と同時に実施すれば、現地立会いや報告書作成を共通化できるため、全体費用を10〜20%程度削減できます。また、建物の使用状況に応じて「定期点検サイクル」に組み込むことで、毎回の現地調整や飛行申請の手間を軽減できます。
さらに、年度末や繁忙期(3月・9月)を避けて依頼することもコスト面で有利です。調査会社が比較的空いている時期にスケジュールを確保することで、調査精度を保ちながら柔軟な対応が可能になります。加えて、同一建物を複数回に分けて診断する「フェーズ分割調査」も効果的です。これにより、一度に大規模な足場を組む必要がなく、予算に合わせた段階的な劣化把握ができます。
このように、依頼タイミングを工夫するだけでもコスト・手間・安全性の3要素を最適化できるため、長期修繕計画における効率的な外壁診断の基盤として活用する価値があります。

名古屋市のオーナー様・管理会社様から寄せられる質問を、現場目線でまとめました。
A.原則として10階建て以下・隣接建物との距離3m以上が目安です。法令上の飛行申請が必要な場合は、弊社で代行します。
A.解像度640×512px、温度分解能0.04℃前後の業務用カメラを使用しています。浮き・剥離面積0.05㎡以上を検出可能です。
A.可視画像・赤外線画像を同時記録し、温度分布解析ソフトで再検証します。再現性のあるデータとして報告書に残ります。
A.不可です。濡れた壁面は赤外線反応が鈍くなるため、晴天かつ風速5m/s以下の日に実施します。
A.はい。修繕ひらまつでは調査のみ・報告書納品のみも対応可能です。その後の補修計画は別途ご相談いただけます。

足場を組まずに外壁全体の状態を可視化できる赤外線×ドローン調査は、名古屋市のような都市環境に最適な診断手法です。ただし、気象条件や建物仕様により精度が変わるため、経験豊富な調査業者を選ぶことが成功の鍵となります。
修繕ひらまつでは、国交省認定パイロットと建築診断士が連携し、撮影から解析・報告書作成まで一貫対応。高所点検の安全性・効率性を両立し、足場調査や補修工事との連携もスムーズに行えます。
お問い合わせはフォーム・メール・電話で随時受付中。ショールームでは赤外線カメラや撮影データの実例もご覧いただけます。大規模修繕計画の“最初の一歩”として、ぜひ一度ご相談ください。
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